「素材名で迷わない」新人アパレル店員が最初に覚えたい繊維知識とQ&A接客トーク集

スキルアップ
2025.12.19
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アパレル販売の仕事を始めたばかりの頃、多くの新人スタッフが不安に感じるのが「素材名」です。商品タグにはコットン、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、ウールなど、聞いたことはあるけれど、違いを説明しようとすると言葉に詰まってしまう。そんな経験をした方は少なくないはずです。

お客様から

「この生地の素材って何がいいんですか?」
「チクチクしませんか?」
「夏は暑くないですか?」

と聞かれたとき、頭の中が真っ白になってしまうこともあるでしょう。しかし、安心してください。素材の説明は、専門家レベルの知識がなくても十分対応できます。大切なのは、素材の優れた点・特徴を「お客様の生活に置き換えて」伝えることです。

この記事では、新人アパレル店員さんが最初に覚えておきたい繊維の基本知識と、売り場ですぐに使えるQ&A形式の接客トークをまとめました。難しい専門用語はできるだけ使わず、「これなら自分でも説明できそう」と思える内容を意識しています。素材に苦手意識がある方ほど、ぜひ最後まで読んでみてください。

まずはここから!繊維は大きく3つに分けて考える

素材名を丸暗記しようとすると、どうしても混乱してしまいます。そこでおすすめなのが、繊維を大きく3つに分けて考える方法です。この分類を理解するだけで、素材の全体像が一気に分かりやすくなります。

☆ 天然繊維とは?

天然繊維は、自然界に存在するものを原料とした素材です。代表的なものには、コットン(綿)、リネン(麻)、ウール(羊毛)、シルク(絹)があります。肌に直接触れるアイテムに使われることが多く、「自然な着心地」を求めるお客様に好まれやすいのが特徴です。

天然繊維は、吸湿性が高く、汗を吸いやすいものが多い反面、シワになりやすかったり、お手入れに少し気を遣う場合もあります。そのため、接客ではメリットだけでなく、「扱い方のポイント」を軽く添えてあげると親切です。

☆ 再生繊維(化学繊維の一種)とは?

再生繊維は、一度天然素材を溶かしてから、再び繊維として作り直した素材です。レーヨンやキュプラがこれにあたります。名前だけ聞くと人工的な印象を持たれがちですが、実際は天然素材に近い風合いを持つものも多く、女性向けアイテムによく使われています。

落ち感があり、きれいめな印象を出しやすい素材なので、「見た目の上品さ」を伝えると分かりやすくなります。

☆ 合成繊維とは?

合成繊維は、石油などを原料に人工的に作られた素材です。ポリエステル、ナイロン、アクリルなどが代表例で、現代のアパレル製品には欠かせない存在です。

最大の特徴は、シワになりにくく、型崩れしにくい点です。お手入れが簡単で、忙しい方やお仕事用の服を探しているお客様にもおすすめしやすい素材です。

新人さんが最初に覚えたい定番素材とその伝え方

ここからは、売り場で特によく出てくる素材を中心に、特徴と接客での伝え方をセットで紹介します。

【コットン(綿)】
コットンはTシャツやシャツ、カットソーなど、季節を問わず使われる定番素材です。多くのお客様にとって馴染みがあるため、安心感を持ってもらいやすい素材でもあります。

コットンの魅力は、肌触りの良さと吸水性の高さです。汗を吸いやすく、静電気も起きにくいため、デイリー使いに向いています。その一方で、シワになりやすいという特徴もあります。

接客では、「普段使いしやすい」「着心地がいい」という言葉に置き換えると伝わりやすくなります。

◎ 接客トーク例
「コットン素材なので、肌当たりがやさしくて着心地がいいですよ。普段使いしやすい定番素材です。」

【ポリエステル】
ポリエステルは、ワンピース、パンツ、アウターなど、あらゆるアイテムに使われています。シワになりにくく、洗濯後も形が崩れにくい点が大きな魅力です。

忙しい方や、お手入れを簡単に済ませたい方には特におすすめしやすい素材です。最近では、ポリエステルでも天然素材のような風合いを持つものが増えている点も覚えておくと便利です。

◎ 接客トーク例
「ポリエステルが入っているので、シワになりにくくてお手入れが楽ですよ。」

【レーヨン】
レーヨンは、柔らかくなめらかな肌触りと、きれいな落ち感が特徴です。ブラウスやワンピースなど、女性らしいシルエットを出したいアイテムによく使われます。

一方で、水に弱く、洗濯方法に注意が必要な場合もあります。接客では、見た目の良さを中心に伝えつつ、洗濯表示を一緒に確認する姿勢が大切です。

◎ 接客トーク例
「レーヨン素材なので、とろみがあってシルエットがきれいに出ますよ。」

【ナイロン】
ナイロンはとても軽く、丈夫な素材です。ブルゾンやバッグ、エコバッグなどに使われることが多く、アクティブな印象を与えます。

雨や風を防ぎやすい点も特徴なので、機能面を重視するお客様に向いています。

◎ 接客トーク例
「ナイロン素材なので軽くて丈夫です。持ち運びもしやすいですよ。」

【ウール】
ウールは秋冬の定番素材で、ニットやコートによく使われます。保温性が高く、暖かさをしっかり感じられる点が魅力です。

「ウール=チクチクする」というイメージを持つお客様も多いため、肌触りについて一言添えてあげると安心感につながります。

◎ 接客トーク例
「ウールが入っているので暖かいですが、こちらは肌触りも比較的やわらかいですよ。」

混紡素材は「いいとこ取り」で伝える

最近のアパレル商品は、ひとつの素材だけで作られているものよりも、複数の素材を組み合わせた「混紡素材」が主流です。商品タグを見ると、コットン、ポリエステル、レーヨン、ナイロンなどが並んでいて、新人スタッフほど「全部説明しなければいけないのでは」と身構えてしまいがちです。しかし、実際の接客では、素材名を一つひとつ細かく説明する必要はありません。

混紡素材を伝えるときに大切なのは、「なぜこの素材の組み合わせなのか」をお客様目線で噛み砕くことです。素材の配合理由は、ほとんどの場合「着心地」と「扱いやすさ」のバランスを取るためです。そのため、接客では専門的な素材説明よりも、「どんなメリットがあるのか」にフォーカスしましょう。

たとえば、コットンとポリエステルの混紡素材であれば、
「コットンの肌触りの良さに、ポリエステルのシワになりにくさをプラスしています」
といった伝え方が分かりやすく、お客様にもイメージしてもらいやすくなります。

レーヨンとポリエステルの混紡であれば、
「レーヨンの落ち感できれいなシルエットが出つつ、ポリエステルが入っているので扱いやすいです」
と伝えることで、見た目と実用性の両立を自然に説明できます。

ここで意識したいのは、「素材名を覚えてもらうこと」ではなく、「着たとき・使ったときの良さを想像してもらうこと」です。素材表示をそのまま読み上げるよりも、「いいとこ取り」「バランスがいい」といった言葉を使うことで、説明はぐっとシンプルになります。

また、混紡素材はデメリットを補う目的で使われていることも多いため、
「天然素材だけだとシワになりやすいので、扱いやすい素材を少し足しています」
といった補足を加えると、納得感のある説明に。

新人のうちは、混紡素材を見たら「一番伝えたいポイントは何か」をひとつ決めるだけで十分です。着心地なのか、お手入れのしやすさなのか、シルエットのきれいさなのか。その一点を軸に説明することで、素材トークは自然で分かりやすいものになります。

新人さんがよく聞かれる素材Q&A

[Q] 「チクチクしませんか?」

お客様が最も気にされる質問のひとつです。このときは、断言しすぎず、やわらかい表現を使うのがポイントです。

「個人差はありますが、こちらは比較的チクチクしにくい素材です。気になる場合はインナーを合わせていただくと安心ですよ。」

[Q] 「家で洗えますか?」

洗濯に関する質問はとても多いです。素材だけで判断せず、洗濯表示を一緒に確認する姿勢を見せると信頼感が高まります。

「ご自宅で洗えますが、ネットに入れていただくと長持ちしやすいです。」

[Q] 「夏は暑くないですか?」

季節感に関わる質問もよくあります。通気性や素材の特性を、体感に近い言葉で伝えましょう。

「見た目よりも通気性があって、比較的快適に着ていただけますよ。」

素材説明が苦手な新人さんへ

アパレル販売を始めたばかりの頃、素材の説明に苦手意識を持つ新人さんはとても多いです。素材名はカタカナが多く、「正しく説明しなければ」「全部覚えなければ」と思うほど、接客中に言葉が出てこなくなってしまいます。

ですが、売り場で求められているのは専門的な解説ではありません。お客様が知りたいのは、「着たときにどう感じるか」「自分の生活に合っているか」という点です。素材説明の目的は、正解を言うことではなく、安心して選んでもらうことだと考えてください。

新人さんがやりがちな失敗は、素材名をそのまま読み上げてしまうことです。「コットン〇%、ポリエステル〇%」と説明しても、お客様にはイメージしづらい場合があります。素材名は、着心地や扱いやすさといった分かりやすい言葉に置き換えるのがポイントです。

たとえばコットンなら「肌触りがやさしく、普段使いしやすい」、ポリエステルが入っていれば「シワになりにくく、お手入れが楽」といった一言を添えるだけで十分です。すべてを説明しようとせず、その服の一番の魅力をひとつ伝える意識を持ちましょう。

もし質問に自信がない場合は、「確認しますね」と伝えて洗濯表示や先輩に確認すれば問題ありません。無理に答えを作るよりも、丁寧な対応の方が信頼につながります。

素材説明は、経験とともに必ず慣れていきます。少しずつ自分の言葉で伝えられるようになれば、接客も自然と楽しくなっていくはずです。

素材トークで失敗しないための新人向けコツまとめ

素材名は、新人アパレル店員さんが最初に「ちょっと苦手かも…」と感じやすいポイントですよね。
でも安心してください。素材の知識は、丸暗記しなくても大丈夫です。
天然素材や化学素材といった大きな分類と、それぞれの性質を少しずつ知っていけば、自然と身についていきます。

まずは、接客の中でこのポイントだけ意識してみてください。
新人さんが意識したい素材トークのコツは下記の4つです!

● 素材名を言うだけで終わらせない
「〇〇素材です」で終わると、正直お客様はピンと来ません。
「柔らかい質感で、空気を含みやすいので冬でも暖かいですよ」など、着用したときのイメージを一言足してあげるのがコツです。

● 難しい言葉は使わなくてOK
専門的な説明よりも、「吸収しやすい」「速乾性があって乾きやすい」「摩擦で毛玉が発生しやすい」など、普段の生活で想像しやすい表現の方が伝わります。

● メリット+一言の注意点を添える
良いところだけを伝えるより、「扱いやすいですが、保管するときは少し注意してくださいね」
「アイロンは低温がおすすめです」と一言あるだけで、ぐっと親切な印象になります。

● 「どんな人に向いているか」で話す
敏感肌の方には刺激が少ない素材、春夏に涼しく着たい方には通気性の良い素材、
スポーツウェアとして機能性やストレッチを重視する方など、人を思い浮かべて説明すると素材の違いが伝わりやすくなります。

素材の説明は、「売るためのテクニック」ではありません!
お客様が自分に合った服を安心して選択できるよう、そっと背中を押すためのサポートです。

最初は言葉に詰まったり、「これで合ってるかな?」と不安になることもあると思います。
でも、よく聞かれる質問から一つずつ、自分の言葉にしていけば大丈夫です。

素材の話ができるようになると、
「この店員さん、話しやすいな」
「聞いてよかったな」
そんな風に感じてもらえる瞬間が、きっと少しずつ増えていくはずです!