アパレル業界【パタンナー】ってどんなお仕事?

スキルアップ
2025.09.03
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デザイナーの想いを形にする重要な仕事、それがパタンナーです。

パタンナーとは、ファッションデザイナーが描いたデザイン画をもとに型紙を引く、アパレル業界になくてはならない専門職です。工程としては、まず平面のデザイン画に立体感を与え、独特の動きやシルエットを考えながら、着心地の良いフォルムになるようパターンを起こしていきます。

この仕事のやりがいは、デザイナーのイメージを正確に理解し、それを技術で現実のものにすることです。もちろん、高い技術力が必要となりますが、それ以上にコミュニケーション能力も重要となります。デザイナーとの打ち合わせを通して、細かなニュアンスまで把握し、それを忠実に再現することが求められます。

今回は、パタンナーというお仕事について詳しく解説していきます。

パタンナーの業務内容は?

平面のデザイン画から型紙を起こす作業が中心ですが、デザイナーとともに素材を考えたり、裁断や縫製の指示を出すこともあります。デザイナーの意図を読み取りイメージどおりの形に仕上げるだけでなく、着心地の良さや繊細な動きを計算し、盛り込んでいくのも重要な役目。パターン上の数ミリの違いもシルエットに影響を与えるので、経験とこだわりがモノを言います。

では、具体的な流れを見ていきましょう。

── パターンの制作
パタンナーは、デザイナーが描いた平面画立体的に表現していきます。全体のシルエットや服の揺れ感など繊細な表現を読み取り、服の設計図をまず作っていきます。
パターン制作には大きく分けて2つの手法があります。

1, 立体裁断
ボディと呼ばれる洋裁用の人体模型に布を当てながらシルエットを作ってパターンを作成・確認していきます。平面で型紙をつくる平面裁断では見つけづらい服のラインや揺れなどを発見できたり、フィット感やボリューム感を調整しやすかったりなど、ディテールにこだわった服作りに役立つことがメリットです。ただ、生産時には最終的に平面のパターンを引くことが必要なので、紙にパターンを引く手順が面倒なことや、ばらつきが出やすいことがデメリットです。

2, 平面裁断
平面裁断は、その言葉通り、平面状の紙にパターンを引き裁断していく方法です。決められた計算式などに基づいて寸法を決めていくので生産性が高く、日本のアパレル企業の多くは平面裁断を取り入れている企業が多いと言われています。パターンの仕上がりレベルが安定し、サイズによってパターンを変えることが簡単なことなどがメリットです。デメリットは、新しいデザインが出た時の対応がやりにくかったり、フィット感やボリューム感など立体的に確認したい箇所が、完成したときに相違が出やすいことがあげられます。

── トワル制作・チェック
トワルとは、一言で言うと試作品を差します。実際の生地ではなく安価な麻や木綿素材の生地で作るのが一般的なやり方です。完成したら服のライン揺らぎ、ボタンなど付属品の位置などをデザイナーと確認(トワルチェックと言う)をおこない、修正点が変更点があれば型紙に反映させます。

── サンプル出し、修正
デザイナーとのトワルチェックでOKが出たら、展示会や営業に使われるサンプルの作成がスタートします。トワルとは異なり、ここでは実際の生地を使用します。そうすることでデザイナーの洋服に対する想いやコンセプト、企画の意図を正しく伝えることができます。

── 量産パターン制作
サンプルにOKが出れば、次は縫製工場へ依頼するための量産用型紙の作成に入ります。サンプル作成までは標準サイズのみしか作成しないケースが多いですが、商品によってはさまざまなサイズで展開することがでてきます。このように多様なサイズのパターンを作成することを「グレーディング」と言います。

上記の4つ以外にも、縫製工場へ提出する指示書の作成や指示、社内の関連部署との連携や共有、完成した商品の検品なども業務に含まれる場合があります。

パタンナーに求められるもの

デザイナーの想いを形にするパタンナーの仕事には、いくつかの重要なスキルが求められます。

① 技術力と正確性
パタンナーにとって、高い技術力は欠かせません。デザイナーが描いたイメージを正確に再現するには、服の構造を理解し、製図やドレーピングといった専門的な技術を習得する必要があります。

特に、パターン制作は緻密さが求められる工程です。わずかなズレが最終的な製品に大きな違いを生んでしまうため、寸分の狂いもないように細かく確認する集中力と注意力が必要です。

② 実務で磨かれるスキル
プロのパタンナーになるには、現場での実務経験が非常に重要です。難しい課題にも向き合い、実践を積み重ねていくことで、自分自身の実力を着実に高めることができます。

デザイン画や仕様書を読み解く能力も、この仕事には欠かせません。デザイナーの意図を的確に把握し、メーカーでの生産も見据えたパターンを作成することが求められます。

③ コミュニケーションと最新情報の活用
パタンナーは他の担当者と密に連携し、円滑なコミュニケーションを行うことが大切です。デザイナーや縫製担当者と情報を共有することで、より良い製品づくりが可能になります。

また、常に進化する業界の情報を知ることも大切です。CADソフトを利用する企業も増えているため、こうした新しい技術を学ぶことは、キャリアを築く上で有利に働きます。

パタンナーに向いている人は?

「パタンナー」という職業に興味を持っても、「自分に向いているのかな?」と考える方もいるでしょう。パタンナーとして活躍している人に共通する資質をいくつかご紹介します。

《服やものづくりが好きな人》
服飾の技術者であるパタンナーは、何よりも服やファッションに強い関心を持っていることが大切です。ものづくりへの情熱や、新しいデザインが形になることに喜びを感じられる方は、この仕事に非常に向いています。

《細かい作業に集中できる人》
パターンの製図は、ミリ単位の正確性が求められる緻密な作業です。そのため、地道な作業を根気よく行い、細部までこだわりを持って作り上げることが得意な人は、パタンナーの適性が高いと言えるでしょう。

《コミュニケーションを取るのが好きな人》
パタンナーの仕事は、一人で黙々と行うものではありません。デザイナーのイメージを正確に理解し、理想の服を実現するためには、他の担当者と密にコミュニケーションを取ることが不可欠です。周りと協力しながら仕事を進めるのが得意な人は、現場で重宝されます。

パタンナーになるには

デザイナーの想いを形にするパタンナーの仕事は、技術と知識、そして実務経験が非常に重視される専門職です。

この職業になれるには、服飾系の専門学校や大学へ通うことが一番の近道です。実践的な勉強を通して、プロに必要な技術や知識を習得することができます。必須の資格はありませんが、「パターンメーキング技術検定」や「CAD利用技術者試験」などの資格を取得しておくと、就職活動でも有利になるでしょう。

この仕事は、服やものづくりが好きで、緻密な作業を行うことが向いている方には特におすすめです。現場で活躍する技術者たちは、難しい課題にも日々挑戦し、経験を積み重ねています。

もし、パタンナーという仕事に少しでも興味を持ったなら、ぜひ学校のオープンキャンパスに参加したり、資料を請求したりして、さらに詳しい情報を知ることをおすすめします!

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