お客様が試着で迷うとき、どこを見ればいい?5つのチェックポイント

スキルアップ
2025.11.04
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アパレル販売の現場でよくあるのが、「試着はしたけど、決めきれない…」というお客様。
「サイズが合っているのか分からない」「似合っているか自信がない」「動きやすさが気になる」など、迷う理由は人それぞれですよね。

そんな時こそ、スタッフの一言や気づきが大きな後押しになります。
この記事では、お客様が試着で迷っているときに、スタッフがどこを見てどうサポートすればよいかを、5つのポイントに分けて詳しく解説します。
「なんとなく似合っていると思う」ではなく、「この服はここが合っている」「このサイズの方がきれいに見える」と根拠を持って提案できるようにしていきましょう!

1. サイズ感を見極める — 客観的に“合っている”を伝える

お客様が試着室から出てきた瞬間、まず確認したいのはサイズ感です。
お客様自身は「ピッタリ」と感じても、実際には少し大きかったり小さかったりすることがあります。スタッフが客観的な視点で見極め、適切にアドバイスすることが大切です。

◎ 見るべきポイント

≪肩の位置≫
 → 縫い目が肩の骨にしっかり合っているか確認します。下がっていると大きめ、上がっていると小さめです。
 スタッフの一言例:「肩のラインがすごくきれいに合っていますね」「もうワンサイズ下げると、よりスッキリ見えそうです」

≪袖丈・裾丈≫
 → 袖は手首のくるぶしあたり、パンツの裾は靴の甲に軽くかかるくらいが理想。
 立ち姿だけでなく、腕を軽く動かしてもらったり、しゃがんでもらうと自然な丈感が見えます。
 「座ったときも窮屈じゃないか見てみましょうか?」と提案すると、お客様も安心して確認できます。

≪身幅・ウエスト・ヒップ≫
 → フィットしすぎていないか、逆に余裕がありすぎないかをチェック。
 「こちらのサイズですと、背中や腰のラインがすごくきれいに出ていますね」など、具体的な箇所を伝えると信頼感が増します。

スタッフはただ「似合ってますよ」と言うのではなく、どこがどう合っているのかを言葉で伝えることが重要です。お客様は根拠のある説明に安心感を覚えます。

2. シルエットと全体バランスを見る — 360度でサポートする

サイズ感を見た後は、シルエットと全体のバランスをチェックします。
お客様自身は鏡の正面しか見られないことが多いので、スタッフが横や後ろの印象を伝えることが大切です。

◎ チェックポイント

≪前から見た印象≫
 胸元・ウエスト・裾のバランスを見て、「どこがスッキリして見えるか」「どの位置に重心が来ているか」を意識しましょう。
 例:「前から見たときにウエストのラインがすごくきれいに出ています」「丈がちょうど良いので足長に見えますね」

≪横から見た印象≫
 背中や腰のラインが自然かどうか。特にジャケットやワンピースは、横のラインで印象が決まります。
 例:「横から見たときの落ち感がすごくきれいです」「腰の位置が高く見えるのでスタイルアップしますね」

≪後ろ姿≫
 お客様は自分では見えない部分。後ろ姿を丁寧に伝えてあげると信頼されます。
 例:「背中のラインがとてもきれいです」「こちらのサイズだと背中に少しゆとりが出て、着やすいと思います」

このとき注意したいのは、「良い点」と「もう少しの点」をバランス良く伝えること。
「こっちの方がよりシルエットがきれいに見えますよ」と比較することで、押しつけではなく提案として受け取ってもらえます。

3. 色・素材・印象を伝える — “似合う理由”を言語化する

試着で迷うお客様の多くは、「自分に似合っているか分からない」と感じています。
そのため、スタッフは客観的な視点で“似合う理由”を伝えることがとても大切です。

● 色とトーン
照明や肌色によって見え方は変わります。顔まわりがパッと明るくなる色を「お似合い」と感じる方が多いですが、本人は気づかないことも。
例:「こちらのカラーだとお顔が明るく見えますね」「少しトーンを落とすと大人っぽい印象になりますよ」

● 素材の表情
同じデザインでも素材が変わるだけで印象は大きく変化します。
柔らかい素材は優しく、ハリのある素材はシャープに。素材の特徴を伝えることで、お客様は自分の好みを整理しやすくなります。
例:「こちらの生地は少しハリがあるので、形がしっかり出て上品に見えます」「柔らかい素材なので動きがあって女性らしい印象です」

● 印象の言語化
ただ「似合う」と伝えるより、「○○な印象に見える」と具体的に表現すると説得力が増します。
例:「この色だとより優しい印象になりますね」「こちらの素材だとお仕事にも使いやすいと思います」

スタッフは“感覚”を“言葉”に変える通訳のような存在。お客様の不安を言語化してあげると、迷いが自然に消えていきます。

4. 動きやすさ・着心地を確認 — 実用面の安心感を与える

お客様が「動きにくいかも」「着てて疲れそう」と思った瞬間、その服は候補から外れてしまいます。
だからこそ、スタッフは着心地の確認を一緒に行う姿勢が大切です。

≪一緒に確認したい動き≫

● 腕を上げ下げしてもらう
● 座る・しゃがむ動作をしてもらう
● 歩いたときのシルエットを確認

その際、「動きにくいところありませんか?」「腕まわり大丈夫ですか?」と声をかけるだけで、お客様は安心します。

また、少しでも気になる箇所があれば、「この素材は少しハリがあるので、慣れると形がきれいに出ますよ」など、理由を添えて説明することで信頼感が増します。
逆に、「柔らかい素材がお好みなら、こちらの方がリラックス感があります」と代案を出せると、提案力のあるスタッフとして印象に残ります。

5. コーディネートと最終判断をサポート — “一緒に選ぶ”姿勢を大切に

試着で迷っているお客様にとって、最も心強いのは「一緒に考えてくれるスタッフ」です。
お客様が「どうしようかな…」と迷っている時に、押し売りではなく寄り添う姿勢を見せることが信頼につながります。

≪提案のコツ≫

①手持ちの服との相性を聞きながら提案する
 例:「お手持ちの白パンツにも合いそうですね」

②TPOを意識した提案をする
 例:「お仕事にも、週末にも使える万能なデザインです」

③似たアイテムとの比較を見せる
 例:「こちらのカラーだとより華やかになりますが、もう一方は落ち着いた印象になります」

最終的に迷っている時には、「どちらもお似合いなので、どんなシーンで着たいかで選ぶのもおすすめですよ」と選び方の軸を与えてあげるのも効果的です。

そして、お客様が鏡を見て悩んでいる時に「どう見えますか?」と聞くより、
「こちらの方が肩のラインがすごく自然ですよ」と具体的に意見を伝えることで、プロとしての信頼を得られます。

まとめ:試着で迷うお客様こそ、スタッフの腕の見せどころ!

お客様が試着で迷っている時は、実は購入に一番近い瞬間です。
ここでスタッフがどう動くかによって、その服の印象も、お客様の満足度も大きく変わります。

もう一度ポイントをおさらいしましょう。

・サイズ感:肩・丈・ウエストを具体的にチェック
・シルエット:360度のバランスを伝える
・色・素材・印象:似合う理由を言語化
・着心地・動きやすさ:実用面で安心感を与える
・コーディネート提案:一緒に考える姿勢を見せる

お客様が「このスタッフに見てもらえて良かった」と思える接客を目指して、試着中の一瞬一瞬を大切にしましょう。
迷いを“納得”に変えるのは、他でもないあなたの気づきと一言です。