Marimekko 高萩さんに聞く『一本の線でつながる仕事』
インタビュー
2026.01.30
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1951年、フィンランドで誕生したMarimekko(マリメッコ)。
大胆なプリントと鮮やかな色彩で、暮らしそのものをキャンバスに見立ててきたこのブランドは、ファッションにとどまらず、インテリアや食卓まで、日常に前向きなエネルギーを届けてきました。
世代やライフスタイルを超えて、多くの人に長く愛され続けています。
今回お話を伺ったのは、株式会社ルックでマリメッコを担当し、第一線でブランドと日本市場をつないできた高萩さん。流行の移り変わりが激しいアパレル業界の中で、何を大切にし、どのような想いで仕事と向き合ってきたのか。
その言葉の端々からは、長年アパレルの現場を支え続けてきたからこそ語れる視点と、決して揺るがない価値観が感じられました。
大胆なプリントと鮮やかな色彩で、暮らしそのものをキャンバスに見立ててきたこのブランドは、ファッションにとどまらず、インテリアや食卓まで、日常に前向きなエネルギーを届けてきました。
世代やライフスタイルを超えて、多くの人に長く愛され続けています。
今回お話を伺ったのは、株式会社ルックでマリメッコを担当し、第一線でブランドと日本市場をつないできた高萩さん。流行の移り変わりが激しいアパレル業界の中で、何を大切にし、どのような想いで仕事と向き合ってきたのか。
その言葉の端々からは、長年アパレルの現場を支え続けてきたからこそ語れる視点と、決して揺るがない価値観が感じられました。
キャリアを形づくった選択と経験
● ファッションとの出会い
ファッションに興味を持ったのは、中学3年生の頃でした。
仲の良い友人が、めちゃくちゃオシャレだったんです。ご家族もみんなファッション感度が高くって、彼はそんな家族の影響でマルジェラをさらりと着こなす中学生。明らかに周囲とは違う空気をまとっていましたね。
その姿に刺激を受けて、ある日インターネットでパリ・コレクションを見たんです。普段の服とはかけ離れた造形、研ぎ澄まされた美しさ。そこで初めて触れたファッションの世界は、私の想像をはるかに超えるものでした。かっこいいという言葉だけでは足りず、純粋に心を掴まれた感覚を今でも覚えています。
● 感覚が輪郭を持った
高校生になると、ファッションへの興味はさらに深まっていきました。欲しい服を自分の力で手に入れたくて、飲食店でアルバイトを始めたんです。貯めたお金で初めて購入したのは、ヘルムート ラングのシャツ。高校生の私にとって、決して安い買い物ではありませんでしたが、「自分の意思で選び、手に入れた一着」という感覚は、今でも強く記憶に残っています。
大学では心理学を専攻し、人の行動や感情について学びました。そこで、ファッションが人に与える印象や、装いが気持ちや行動に影響を及ぼす理由が、少しずつ言葉として腑に落ちていったんです。それまで感覚的に惹かれていたファッションは、この頃から「人と深く関わる表現」として自分の中で輪郭を持ち始め、自然とファッションに関わる仕事を意識するようになっていきました。
● 現場で鍛えられた基礎力
2006年、株式会社ルックに新卒で入社し、大阪支店の営業職としてキャリアをスタートさせています。売上管理をはじめ、スタッフ、商品、顧客との関係構築など、現場に関わるあらゆる業務を担当し、約8年間、実務の中で仕事の基礎を徹底的に鍛えられてきました。
この時期に身についたのは、いわゆる現場感覚です。数字を見ることは当然ですが、それ以上に意識していたのは「人を見る」こと。データの裏にあるスタッフの動きや、お客様の反応、売場の空気感まで含めて捉えることが、仕事の精度を大きく左右する。そんな実感を、日々の積み重ねの中で得ていきました。“生の情報”に向き合い続けることで、仕事を点ではなく、立体で考える視点が自然と身についていったと思います。
結果を出すこと、そしてチームで目標を達成することの手応えを初めて強く感じたのも、この現場での経験でした。ここで培われた現場視点は、その後どんな立場になっても揺らぐことのない、自分の仕事の土台になっています。
● 人事異動がもたらした“視点の転換”
2014年、人事異動によりEC事業部へ配属されました。当時はまだ、実店舗が主流で、WEBでの購買は今ほど一般的ではなかった時代です。専門用語やデータ指標、デジタルマーケティング、業界構造まで、すべてが未知の領域。これまで現場感覚を軸に仕事をしてきた自分にとって、ECの世界は、物事がすべて「数値」で語られる環境でした。
戸惑いながらも、本を読み、調べ、セミナーに足を運び、手探りで知識を積み上げていく日々。感覚や経験だけでは通用しない場面に何度も直面しましたが、その一方で、数字が示す事実の強さと、再現性のある判断軸を学んでいきました。
この約5年間で得た最大の学びは、「感覚」と「データ」を対立させないという視点です。現場で培った感覚にデータを重ねることで、初めて戦略は立体的になる。この経験は、現在のマネジメントやブランド運営においても、揺るぎない軸として生き続けています。
ファッションに興味を持ったのは、中学3年生の頃でした。
仲の良い友人が、めちゃくちゃオシャレだったんです。ご家族もみんなファッション感度が高くって、彼はそんな家族の影響でマルジェラをさらりと着こなす中学生。明らかに周囲とは違う空気をまとっていましたね。
その姿に刺激を受けて、ある日インターネットでパリ・コレクションを見たんです。普段の服とはかけ離れた造形、研ぎ澄まされた美しさ。そこで初めて触れたファッションの世界は、私の想像をはるかに超えるものでした。かっこいいという言葉だけでは足りず、純粋に心を掴まれた感覚を今でも覚えています。
● 感覚が輪郭を持った
高校生になると、ファッションへの興味はさらに深まっていきました。欲しい服を自分の力で手に入れたくて、飲食店でアルバイトを始めたんです。貯めたお金で初めて購入したのは、ヘルムート ラングのシャツ。高校生の私にとって、決して安い買い物ではありませんでしたが、「自分の意思で選び、手に入れた一着」という感覚は、今でも強く記憶に残っています。
大学では心理学を専攻し、人の行動や感情について学びました。そこで、ファッションが人に与える印象や、装いが気持ちや行動に影響を及ぼす理由が、少しずつ言葉として腑に落ちていったんです。それまで感覚的に惹かれていたファッションは、この頃から「人と深く関わる表現」として自分の中で輪郭を持ち始め、自然とファッションに関わる仕事を意識するようになっていきました。
● 現場で鍛えられた基礎力
2006年、株式会社ルックに新卒で入社し、大阪支店の営業職としてキャリアをスタートさせています。売上管理をはじめ、スタッフ、商品、顧客との関係構築など、現場に関わるあらゆる業務を担当し、約8年間、実務の中で仕事の基礎を徹底的に鍛えられてきました。
この時期に身についたのは、いわゆる現場感覚です。数字を見ることは当然ですが、それ以上に意識していたのは「人を見る」こと。データの裏にあるスタッフの動きや、お客様の反応、売場の空気感まで含めて捉えることが、仕事の精度を大きく左右する。そんな実感を、日々の積み重ねの中で得ていきました。“生の情報”に向き合い続けることで、仕事を点ではなく、立体で考える視点が自然と身についていったと思います。
結果を出すこと、そしてチームで目標を達成することの手応えを初めて強く感じたのも、この現場での経験でした。ここで培われた現場視点は、その後どんな立場になっても揺らぐことのない、自分の仕事の土台になっています。
● 人事異動がもたらした“視点の転換”
2014年、人事異動によりEC事業部へ配属されました。当時はまだ、実店舗が主流で、WEBでの購買は今ほど一般的ではなかった時代です。専門用語やデータ指標、デジタルマーケティング、業界構造まで、すべてが未知の領域。これまで現場感覚を軸に仕事をしてきた自分にとって、ECの世界は、物事がすべて「数値」で語られる環境でした。
戸惑いながらも、本を読み、調べ、セミナーに足を運び、手探りで知識を積み上げていく日々。感覚や経験だけでは通用しない場面に何度も直面しましたが、その一方で、数字が示す事実の強さと、再現性のある判断軸を学んでいきました。
この約5年間で得た最大の学びは、「感覚」と「データ」を対立させないという視点です。現場で培った感覚にデータを重ねることで、初めて戦略は立体的になる。この経験は、現在のマネジメントやブランド運営においても、揺るぎない軸として生き続けています。

前に進み続けるための思考
● 経験がつくった仕事観
今年の4月で、入社20年目を迎えます。
営業、EC、そして現在はブランド全体を見渡す仕事に。いくつかの部門を横断してきたキャリアを振り返ると、その時々の経験が少しずつ積み重なり、今の自分の仕事観を形づくってきたのだと感じます。
その中で、自然と自分の中に根づいていったのが、「分断しない視点」でした。
現場とデータ、リアルとデジタル、ブランドと顧客、組織と個人。これらを切り離して考えるのではなく、ひとつの流れとして捉えること。さまざまな立場や役割を経験する中で、その感覚が当たり前になっていったように思います。
ECと店舗は別物ではなく、ブランド体験としては一本の線でつながっている。
データは冷たい数字ではなく、人の選択の積み重ねである。
組織の役割は管理ではなく、個々の可能性を広げること。
こうした考え方は、選択と挑戦を重ねる中で、少しずつ形づくられてきたものです。振り返ると、そのすべてが今につながっていることを、あらためて実感しています。
● 成長を実感できた瞬間
営業として結果を出すこと、チームで目標を達成すること。そうした経験には、確かに大きな手応えがあります。ただ、「自分の成長」を実感する瞬間は、わかりやすい数字の達成とは、少し違うところにありました。
売上データやトレンドを見るのは当たり前。でもそれだけでは足りなくて、「どんな人が、どんな理由でそれを選んだのか」「数字には出てこない本音は何だったのか」といった、表に出にくい部分に自然と目が向くようになった時、視点が一段変わった感覚があったんですよね。
その気づきを、商品企画やブランドへの提案として実際に反映できた時、自分の意見がダイレクトにつながっていると実感できました。
結果を追うだけでなく、その背景まで想像すること。そこに向き合い続けることで、仕事の解像度が上がり、自分自身の役割も広がっていく。成長とは、肩書きが変わることではなく、見ている世界が変わることなのかもしれません。
● ポジティブに時間を使う
過去には責任ある立場になったことで、不安に引っ張られたり、考えすぎて立ち止まってしまう時期もありました。時間は有限だと分かっていても、ネガティブな思考に時間を使ってしまう。今振り返ると、あの「止まっていた時間」こそが一番もったいなかったと感じています。
失敗は何度もしてきましたが、大切なのは、落ち込むことよりその後どう立て直すか。どこが良くなかったのかを整理し、次にどう活かすかを考える。逆に、うまくいった時ほど理由を理解しておかないと、次につながらないことも多いんですよね。
気持ちを切り替えたい時は、音楽を聴いたりします。最近はマット・チャンピオン(Matt Champion)なんかを聴くことが多いかな。自然と前向きになれる音楽が、自分をフラットな状態に戻してくれるんです。好きな服を着るのだって、そのひとつです。
そして、所属するチームも前向きなポジションでいられるよう、立ち止まっている人がいれば、私は待たずに声をかけます。何に引っかかっているのかを一緒に整理し、前に進める状態をつくる。
迷うこと自体は悪くない。でも、ひとりで抱え込む時間は短いほうがいい。そう考えるようになったことが、今の自分のスタンスにつながっています。
今年の4月で、入社20年目を迎えます。
営業、EC、そして現在はブランド全体を見渡す仕事に。いくつかの部門を横断してきたキャリアを振り返ると、その時々の経験が少しずつ積み重なり、今の自分の仕事観を形づくってきたのだと感じます。
その中で、自然と自分の中に根づいていったのが、「分断しない視点」でした。
現場とデータ、リアルとデジタル、ブランドと顧客、組織と個人。これらを切り離して考えるのではなく、ひとつの流れとして捉えること。さまざまな立場や役割を経験する中で、その感覚が当たり前になっていったように思います。
ECと店舗は別物ではなく、ブランド体験としては一本の線でつながっている。
データは冷たい数字ではなく、人の選択の積み重ねである。
組織の役割は管理ではなく、個々の可能性を広げること。
こうした考え方は、選択と挑戦を重ねる中で、少しずつ形づくられてきたものです。振り返ると、そのすべてが今につながっていることを、あらためて実感しています。
● 成長を実感できた瞬間
営業として結果を出すこと、チームで目標を達成すること。そうした経験には、確かに大きな手応えがあります。ただ、「自分の成長」を実感する瞬間は、わかりやすい数字の達成とは、少し違うところにありました。
売上データやトレンドを見るのは当たり前。でもそれだけでは足りなくて、「どんな人が、どんな理由でそれを選んだのか」「数字には出てこない本音は何だったのか」といった、表に出にくい部分に自然と目が向くようになった時、視点が一段変わった感覚があったんですよね。
その気づきを、商品企画やブランドへの提案として実際に反映できた時、自分の意見がダイレクトにつながっていると実感できました。
結果を追うだけでなく、その背景まで想像すること。そこに向き合い続けることで、仕事の解像度が上がり、自分自身の役割も広がっていく。成長とは、肩書きが変わることではなく、見ている世界が変わることなのかもしれません。
● ポジティブに時間を使う
過去には責任ある立場になったことで、不安に引っ張られたり、考えすぎて立ち止まってしまう時期もありました。時間は有限だと分かっていても、ネガティブな思考に時間を使ってしまう。今振り返ると、あの「止まっていた時間」こそが一番もったいなかったと感じています。
失敗は何度もしてきましたが、大切なのは、落ち込むことよりその後どう立て直すか。どこが良くなかったのかを整理し、次にどう活かすかを考える。逆に、うまくいった時ほど理由を理解しておかないと、次につながらないことも多いんですよね。
気持ちを切り替えたい時は、音楽を聴いたりします。最近はマット・チャンピオン(Matt Champion)なんかを聴くことが多いかな。自然と前向きになれる音楽が、自分をフラットな状態に戻してくれるんです。好きな服を着るのだって、そのひとつです。
そして、所属するチームも前向きなポジションでいられるよう、立ち止まっている人がいれば、私は待たずに声をかけます。何に引っかかっているのかを一緒に整理し、前に進める状態をつくる。
迷うこと自体は悪くない。でも、ひとりで抱え込む時間は短いほうがいい。そう考えるようになったことが、今の自分のスタンスにつながっています。

売れるスタッフに共通する“見えないスキル”
● 相手の期待を超える“気づき”
お客様に選ばれるスタッフの共通点は、「お客様の期待をどう超えていくか」を常に考えていることだと思います。言われたものをそのまま出すだけなら、誰にでもできますからね。
大切なのは、その奥にある「本当は何を求めているのか」を引き出すこと。会話の中での仕草や言葉の選び方、今日着ている服の雰囲気を見ながら、「この方は今、どんな気分なんだろう」と想像する。そこから自然に一歩踏み込んだ提案ができるかどうかが、分かれ道になります。
そして、商品のウンチクを重ねるのではなく、一言“心を動かす言葉”を添えていくことが大切です。「似合いますね」で終わらせず、なぜ似合っているのか、どんな良さがあるのかを具体的に伝える。
お客様自身がまだ言語化できていないことを、こちらが先に見つけ、言葉にしてあげる。その“気づき”こそが、接客の価値だと思っています。
接客は、相手があってこそ成り立つものです。だからこそ、こちらの都合や知識を押しつけるのではなく、相手をきちんと見て、理解し、納得してもらうことが欠かせない。
そうした一つひとつの積み重ねが、「またこの人に会いたい」「この人から買いたい」という信頼につながっていく。お客様の期待を超えたその先にこそ、選ばれ続ける理由が生まれるのだと思います。
● 服を選ぶって、楽しいこと
洋服を選ぶという行為は、本来とても前向きで、楽しいものだと思っています。生活に欠かせない必需品というより、その人の気分や価値観を映す嗜好品。だからこそ、現場で活躍しているスタッフを見ていると、「服そのもの」ではなく、「その先のイメージ」をきちんと伝えられているかどうかが、大きな差になっていると感じます。
たとえば、「普段は明るい色は着ない」と話されるお客様に対しても、そこで会話を終わらせない。「差し色としてこう取り入れることで、今のスタイルにすっと馴染みますよ」とか、「こんなシーンなら自然に着られそうですね」と、着用後の場面まで一緒に描いていく。
そうしたやり取りを通して、お客様自身が「こんな選択肢があったんだ」と、新しい視点に気づくことも少なくありません。
信頼を集めているスタッフほど、提案には必ず理由があります。「なぜこの一着なのか」「なぜ今のライフスタイルに合うのか」。その説明があるからこそ、押しつけではなく、納得のある選択につながっていく。
洋服を売ることが目的ではなく、洋服を選ぶ時間そのものを楽しんでもらう。その視点を持てるかどうかが、長く選ばれる接客につながっているのだと思います。
● 人を見る力は、観察と準備でしか身につかない
お客様の価値観やライフスタイルを汲み取り、その先のイメージまで描いて提案する力。こうしたスキルは、いきなり身につくものではありません。日々の積み重ねの中で、少しずつ養われていくものだと思っています。
大切なのは、人をよく見ること。現場で「素敵だな」「この人はお客様から信頼されているな」と感じるスタッフがいれば、その人がどんな言葉を選び、どんな距離感で相手と接しているのかを観察してみることが大事です。なぜそう感じたのかを自分なりに言語化する訓練をすることで、再現できる要素が見えてきますから。
一方で、反面教師から学ぶことも多いんですよね。例えば、自分自身が買い物をしていて心が動かなかった接客に出会ったとき、「なぜそう感じたのか」を考える。その違和感は、次に活かせる大きなヒントになります。
売れるスタッフに共通しているのは、特別な才能よりも、相手に合わせ続けるための地道な努力。その積み重ねこそが、「人を見る力」を育てていくのだと思います。
お客様に選ばれるスタッフの共通点は、「お客様の期待をどう超えていくか」を常に考えていることだと思います。言われたものをそのまま出すだけなら、誰にでもできますからね。
大切なのは、その奥にある「本当は何を求めているのか」を引き出すこと。会話の中での仕草や言葉の選び方、今日着ている服の雰囲気を見ながら、「この方は今、どんな気分なんだろう」と想像する。そこから自然に一歩踏み込んだ提案ができるかどうかが、分かれ道になります。
そして、商品のウンチクを重ねるのではなく、一言“心を動かす言葉”を添えていくことが大切です。「似合いますね」で終わらせず、なぜ似合っているのか、どんな良さがあるのかを具体的に伝える。
お客様自身がまだ言語化できていないことを、こちらが先に見つけ、言葉にしてあげる。その“気づき”こそが、接客の価値だと思っています。
接客は、相手があってこそ成り立つものです。だからこそ、こちらの都合や知識を押しつけるのではなく、相手をきちんと見て、理解し、納得してもらうことが欠かせない。
そうした一つひとつの積み重ねが、「またこの人に会いたい」「この人から買いたい」という信頼につながっていく。お客様の期待を超えたその先にこそ、選ばれ続ける理由が生まれるのだと思います。
● 服を選ぶって、楽しいこと
洋服を選ぶという行為は、本来とても前向きで、楽しいものだと思っています。生活に欠かせない必需品というより、その人の気分や価値観を映す嗜好品。だからこそ、現場で活躍しているスタッフを見ていると、「服そのもの」ではなく、「その先のイメージ」をきちんと伝えられているかどうかが、大きな差になっていると感じます。
たとえば、「普段は明るい色は着ない」と話されるお客様に対しても、そこで会話を終わらせない。「差し色としてこう取り入れることで、今のスタイルにすっと馴染みますよ」とか、「こんなシーンなら自然に着られそうですね」と、着用後の場面まで一緒に描いていく。
そうしたやり取りを通して、お客様自身が「こんな選択肢があったんだ」と、新しい視点に気づくことも少なくありません。
信頼を集めているスタッフほど、提案には必ず理由があります。「なぜこの一着なのか」「なぜ今のライフスタイルに合うのか」。その説明があるからこそ、押しつけではなく、納得のある選択につながっていく。
洋服を売ることが目的ではなく、洋服を選ぶ時間そのものを楽しんでもらう。その視点を持てるかどうかが、長く選ばれる接客につながっているのだと思います。
● 人を見る力は、観察と準備でしか身につかない
お客様の価値観やライフスタイルを汲み取り、その先のイメージまで描いて提案する力。こうしたスキルは、いきなり身につくものではありません。日々の積み重ねの中で、少しずつ養われていくものだと思っています。
大切なのは、人をよく見ること。現場で「素敵だな」「この人はお客様から信頼されているな」と感じるスタッフがいれば、その人がどんな言葉を選び、どんな距離感で相手と接しているのかを観察してみることが大事です。なぜそう感じたのかを自分なりに言語化する訓練をすることで、再現できる要素が見えてきますから。
一方で、反面教師から学ぶことも多いんですよね。例えば、自分自身が買い物をしていて心が動かなかった接客に出会ったとき、「なぜそう感じたのか」を考える。その違和感は、次に活かせる大きなヒントになります。
売れるスタッフに共通しているのは、特別な才能よりも、相手に合わせ続けるための地道な努力。その積み重ねこそが、「人を見る力」を育てていくのだと思います。
ONとOFFのつけ方
● 好きなことに没頭
仕事柄、常にトレンドや数字、人の動きに意識を向けているので、オフの時間はできるだけ頭を空っぽにしたいタイプです。一人で過ごす時間も好きで、家ではNetflixを観たり、漫画を読んだり、音楽を流しながらゆったり過ごすことが多いですね。ファッション、音楽、漫画、映像作品。どれも昔から好きなものですが、気づけばそれらが自分にとって一番のリフレッシュになっています。
「何もしない」のではなく、「好きなことに没頭する」。それが自然と気持ちを切り替えてくれるんです。
もちろん、友達と過ごす時間も大切にしています。夏になれば釣りに出かけたり、花火を観に行ったり。特別なことをするわけではないけれど、気の合う仲間と同じ時間を共有するだけで、不思議と心が軽くなります。平日は仕事仲間と飲みに行くことも多く、行く店もだいたい決まっています(笑)。気心の知れたメンバーと、気取らずに過ごす時間があるからこそ、また仕事に向き合える。そんな循環が、今の自分にはちょうどいいですね。
● 一番身近な存在
妻とは昨年、結婚15年周年を迎えました。
長い時間を一緒に過ごしていますが、今でも本当に趣味が合うなと感じています。特にファッションが好きなところは共通していて、服の話をしている時間は自然と盛り上がります。美味しいご飯やお酒を楽しむ日もありますが、ミシュランよりファッション(笑)。そんな価値観が似ているのは、ありがたいですね。
40歳の誕生日に妻が買ってくれた指輪があるのですが、これは今でもとても大切にしています。彼女はとにかくセンスが良くて、自分の好みをよく分かってくれている、ありがたい存在です。
家事もほぼ任せっきりで、私がやっていることといえばルンバを走らせるくらい(笑)。料理も100%妻で、何を作っても本当に美味しい。家が落ち着く場所なのは、間違いなく妻のおかげですね。
実は、これまで二人で遠出をしたことはあまりありません。でも、これまで訪れた場所の中で特に印象に残っているフランス・パリには、いつか連れて行ってあげたいと、密かに思っています。
仕事柄、常にトレンドや数字、人の動きに意識を向けているので、オフの時間はできるだけ頭を空っぽにしたいタイプです。一人で過ごす時間も好きで、家ではNetflixを観たり、漫画を読んだり、音楽を流しながらゆったり過ごすことが多いですね。ファッション、音楽、漫画、映像作品。どれも昔から好きなものですが、気づけばそれらが自分にとって一番のリフレッシュになっています。
「何もしない」のではなく、「好きなことに没頭する」。それが自然と気持ちを切り替えてくれるんです。
もちろん、友達と過ごす時間も大切にしています。夏になれば釣りに出かけたり、花火を観に行ったり。特別なことをするわけではないけれど、気の合う仲間と同じ時間を共有するだけで、不思議と心が軽くなります。平日は仕事仲間と飲みに行くことも多く、行く店もだいたい決まっています(笑)。気心の知れたメンバーと、気取らずに過ごす時間があるからこそ、また仕事に向き合える。そんな循環が、今の自分にはちょうどいいですね。
● 一番身近な存在
妻とは昨年、結婚15年周年を迎えました。
長い時間を一緒に過ごしていますが、今でも本当に趣味が合うなと感じています。特にファッションが好きなところは共通していて、服の話をしている時間は自然と盛り上がります。美味しいご飯やお酒を楽しむ日もありますが、ミシュランよりファッション(笑)。そんな価値観が似ているのは、ありがたいですね。
40歳の誕生日に妻が買ってくれた指輪があるのですが、これは今でもとても大切にしています。彼女はとにかくセンスが良くて、自分の好みをよく分かってくれている、ありがたい存在です。
家事もほぼ任せっきりで、私がやっていることといえばルンバを走らせるくらい(笑)。料理も100%妻で、何を作っても本当に美味しい。家が落ち着く場所なのは、間違いなく妻のおかげですね。
実は、これまで二人で遠出をしたことはあまりありません。でも、これまで訪れた場所の中で特に印象に残っているフランス・パリには、いつか連れて行ってあげたいと、密かに思っています。

この業界で働く方、そしてこれからチャレンジされる方達へ
ファッションが好きなら、迷わず一度はやってみてほしいと思います。
少しでも興味があるなら、なおさらです。
「好きなことは仕事にしないほうがいい」と言われる場面も、これまで何度か見てきました。でも、実際に長くこの業界にいる人たちを見ていると、本当にファッションが好きな人ほど、やっぱり楽しそうに働いているんですよね。結果論かもしれませんが、自分自身もその一人だと思っています。
大変じゃない?と声をかけられることもありました。でも、好きだからこそ苦にならない。というより、苦に感じるポイント自体が、人とは少し違うのかもしれませんが…(笑)。
そもそも、この業界に明確な正解はありません。だからこそ、自分なりの向き合い方を見つけていく面白さがあるんです。
ファッションは、単なる仕事ではなく、一つのカルチャーだと思っています。
迷って立ち止まる時間が、かえってもったいない時もある。
もし心が少しでも動いているなら、その感覚を信じて、飛び込んでみてほしいですね。
------------------------------------------------
PROFILE
高萩 貴志
1981年 大阪府出身。
大学を卒業後2006年に株式会社ルックへ入社。
営業、Eコマース、バイヤー、ブランドマネージャーという多岐にわたる役割を歴任。
現在は「Marimekko」のブランドマネージャーとして、ブランド戦略からP/L管理、店舗開発、マーケティング戦略を統括。デジタルとリアルを融合させたオムニチャネル戦略を推進し、ブランド価値向上と事業拡大に注力している。
少しでも興味があるなら、なおさらです。
「好きなことは仕事にしないほうがいい」と言われる場面も、これまで何度か見てきました。でも、実際に長くこの業界にいる人たちを見ていると、本当にファッションが好きな人ほど、やっぱり楽しそうに働いているんですよね。結果論かもしれませんが、自分自身もその一人だと思っています。
大変じゃない?と声をかけられることもありました。でも、好きだからこそ苦にならない。というより、苦に感じるポイント自体が、人とは少し違うのかもしれませんが…(笑)。
そもそも、この業界に明確な正解はありません。だからこそ、自分なりの向き合い方を見つけていく面白さがあるんです。
ファッションは、単なる仕事ではなく、一つのカルチャーだと思っています。
迷って立ち止まる時間が、かえってもったいない時もある。
もし心が少しでも動いているなら、その感覚を信じて、飛び込んでみてほしいですね。
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PROFILE
高萩 貴志
1981年 大阪府出身。
大学を卒業後2006年に株式会社ルックへ入社。
営業、Eコマース、バイヤー、ブランドマネージャーという多岐にわたる役割を歴任。
現在は「Marimekko」のブランドマネージャーとして、ブランド戦略からP/L管理、店舗開発、マーケティング戦略を統括。デジタルとリアルを融合させたオムニチャネル戦略を推進し、ブランド価値向上と事業拡大に注力している。

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